誹謗中傷問題におけるプロバイダ責任制限法とは

ネット犯行

プロバイダ責任制限法とは

プロバイダ責任制限法とは、明らかな犯罪とされる案件に限り、捜査や裁判に必要な住所や氏名等の個人情報、IPアドレス、アクセスログ等の情報を開示をすることで対象者のプライバシー等を侵害するような行為があったとしても、裁判所の命令による情報開示請求に従ったケースであれば、プロバイダは責任を負わなくても良いとする法律です。

インターネットは、自ら住所や氏名を公開する事が無い限り、匿名によって表面的には個人が特定される事が無く、人種や性別、年齢、立場を超えた自由な発言や、コミュニケーションが行えるのが魅力のひとつですが、匿名である事を逆手に取って悪用し、個人や企業等を誹謗中傷するような行為が横行し、社会が抱える病としても大きな問題となっています。

一般的に被害者が、加害者に対して訴訟を起こすためには、住所、氏名等、対象となる加害者が何者であるかを特定する必要があります。
多くのインターネットにおける誹謗中傷事案では、加害者側が身元や氏名等を隠した匿名で行われており、訴訟を起こすためには、被害者側がプロバイダに対し、加害者を特定するための情報開示請求をする必要があります。

ネットは実は匿名ではない!

一見匿名に見えるインターネットの世界ですが、実はさまざまな情報が記録されており、本人の特定は可能です。

加害者が利用しているプロバイダには、申し込みの際に提出した個人情報が存在します。
インターネットに接続すると、ネット上の住所と言えるIPアドレスが付与されますが、これを解析すれば、利用したプロバイダと、端末を接続した回線が存在する都道府県、市町村と言ったエリアを特定する事が可能です。

IPアドレスは、プロバイダのログに記録されるのはもちろん、訪問したホームページやブログ、利用したSNSのサーバーにも記録され、一定期間保存されます。

これらを照合すれば、いつ、どこに、誰がアクセスしたのかを調べる事が可能です。

プロバイダ責任制限法が施行される以前は、情報を開示された対象者が、個人情報の無断公開、プライバシーの侵害や、通信の秘密を侵されたとして、プロバイダを訴える事があり、判例でもプロバイダ側が敗訴する事例が相次ぎました。

情報開示請求に応じるか否かは、一方的にプロバイダ側に委ねられており、係争を嫌ったプロバイダは情報を開示する事を躊躇し、事実上、インターネットにおける誹謗中傷事案は、被害者が泣き寝入りせざるを得ない状況が長きに渡って続いていました。

加害者側が逃げ切る事が可能な状況に、このままではいけないという時代の要請も手伝い、プロバイダ責任制限法が施行され、誹謗中傷事案の解決への大きな後押しとなりました。